太陽光発電でオフグリッドを目指す為に読むべき一冊。わがや電力!
オフグリッドを目指す
うちの奥さまは一級建築士です。以前は大手ゼネコンの建築士設計の仕事をしていました。今はフリーです。とは言っても、賃貸アパートのリノベーションで収益改善の仕事を細々としています。
奥さまはDIYも大好き。ちょっとした大工仕事なら自分でやります。フローリング貼りも自分でやってしまいます。そして、最近の興味はオフグリッド。主に太陽光発電による、電力自給自足に大変な興味を示しています。
そんな奥さまのために、「わがや電力」という、本を購入しました。電力自給自足を免許が不要なレベルで自分でやるにはどうするかを中学生にも解るレベルで図をふんだんに使って説明しています。
わがや電力 12歳からとりかかる太陽光発電の入門書(やわらかめ)
オフグリッドは太陽パネルだけではできない
電力網から切り離して、電力会社の提供する電力を使わないで、電力を自給自足する。それがオフグリッドです。
実際に建物一棟全ての電力を太陽光で賄うことで、電線の引き込みがない建物を使っているご家庭も既に存在します。
最近は屋根に太陽光パネルを設置している住宅をよく見るようになりました。しかし、多くの場合、太陽光パネルで発電し、余ったら電力会社に買い取ってもらう事を想定しています。従って、電力網につながっているのが一般的です。
しかし、オフグリッドはそれとは違います。完全に電線から切り離して、自力で電力を賄う発想です。なので、災害で電力インフラが止まっても影響を受けません。災害時、お店の配送が止まって野菜が買えなくなっても、自宅の庭の家庭菜園で食べ続けられるというのと同じです。
ただし、オフグリッドを実現するためには、家の屋根に太陽光パネルがたくさんついてさえいればいい訳ではありません。
電気を貯めておくバッテリーが必要です。なぜなら、発電するのは太陽が照っている昼間。でも、使うのは夜なのです。また、太陽が陰っている時は太陽電池は発電できませんが、電気は使いたいです。つまり、発電できる時間に発電した電力は、一旦バッテリーに蓄えておく必要があるのです。発電と消費の間の時差を埋めるのがバッテリーの役割になるのです。
そして、バッテリーは電気を使用したい機器が増えると、大きなものが必要になります。お金もそれだけかかります。
「わがや電力」が目指すのは
「わがや電力」で紹介しているのは、オフグリッドです。でも、家の中の全ての電力を賄うところまでは想定していません。電気工事士の資格が不要な低い電圧を扱って、そのなかで賄える電力を自給自足する感じです。
ただし、考え方や、必要な基本中の基本は一から分かりやすく書かれています。目指すところは以下のようなものです。
扱う電圧は12V
扱う電圧は、12V直流です。これは、車に積まれているバッテリーと同じものです。ですから、プラグの類いは、車の中で使うシガーソケットです。
太陽パネルの出力電圧は、一枚で通常18Vなんだそうです。そこから、チャージコントローラーという機器に繋いで、12Vのバッテリーに充電。12Vを取り出して使う想定です。
12Vなので、普通の100Vのコンセントに刺して使うような器具は使えません。その手のものを使いたい場合は一般的には「インバータ」と呼ばれる変換器を使います。車の中で100Vを使うユースケースを想定し、カー用品店などで入手可能です。
でも、この本では、効率が悪いのでインバータを使うのをおすすめしません。何しろ、100Vにするインバータは、バッテリーに繋いだだけで電力を消費します。100Vの機器をつながなくてもムダに電流が流れてしまうのです。
直流をそのまま使う
そういう訳で、電力効率の為に12Vの直流電源をそのまま使います。
例えば、よく売られているLED電球。あれは、100Vのソケットに入れて使えるように作られています。しかし、LEDという半導体自体は本来は直流で光るものです。それを現在最も普及している100Vで使える回路を内蔵したのが、よく売られているLED電球なのです。
わがや電力の本の中では、そんな100V電源用のLED電球ではなく、12Vの直流で光らせるべく工作しています。そのやり方まで丁寧に図で説明してます。
因みに、うちの奥さまは、この本を読むまで直流と交流の意味がわかっていませんでした。
直流と交流の一番の違いは極性が有ること。交流のコンセントは右左を差し替えても問題ありません。しかし、直流の場合は、プラスとマイナスを注意してつながないと動きません。先悪、つないだ機器が壊れます。
さらにその先が書かれている
メインの工作は12V電源ですが、一歩進んだ24V系統の説明も記載されています。
24Vを作るために、バッテリーも太陽光パネルも二倍にします。ただし、パネルは18Vで、二枚を直列につなぐと36Vになります。30Vを越える電力を扱う場合、扱い方によっては電気工事士の資格が必要になってきます。
この辺りも丁寧に、資格が必要なシナリオの説明があります。とても勉強になりました。
オフグリッドを目指すなら読むべき一冊
という訳で、12Vにしろ、その先の家全体をオフグリッドにするにしろ、基本中の基本はこれ一冊でかなり網羅されていると思います。
うちの奥さまもこの本を手に取り、俄然やる気が出てきたようです。
一軒家全体をオフグリッド化し普通の現代の生活するには、12Vでは全然物足りないです。この本で得た知識をベースにネットで情報検索をすることで、そういう難しさも理解できるようになってきました。
DIYならすぐできそうですが、家ごとオフグリッド。先は長いです。